ええシーン

生活を生きてると、ええシーンに出会う。

 

例えば、夜チャリ漕ぎながら歌歌ってる人とすれ違う時。

 

これ、たまにライブでも言うんやけど、夜チャリ漕ぎながら(原付でも可)歌われる歌っていうのは、どの瞬間の歌よりもいっちゃんええ状態やと思ってる。

 

誰かのワンツースリーフォーで歌い始めるわけでもない、上手いとか下手とかそんなことでもない、チャリ漕いでて、気持ちよなって、周りに誰おるとか関係もなくなってもて、何者にでもなくなって、限りなく自然体で自分ひとりで出てくる歌。

 

誰かのこれを聴けた時、わたしはいつも「ラッキー!」って思う。

 

 

この間、まつげサロンに行った時、お会計してたら、同じくまつげ終わりの、自分のお母さんくらいの年齢の女性が出てきた。

 

財布を取り出すそのお母さんに、「あ、お代はもう頂いてますので〜」ってまつげサロンのお姉さん。

 

「え!!!!!」

「先終わられてた娘さんが支払われましたよ〜」

 

そこでトイレから出てくる娘さん。

 

「あんた!わたし今日、フルコースやったで!オフもしたし、エクステ多めにつけたし、美容液もしたし・・・高かったやろ?!」

 

まだ驚きまくってるお母さんを横目に、わたしと同じ歳くらいの娘さんは「えー別に。」くらいの雰囲気。

 

歳をとって家族のあれこれにめっぽう弱くなった全く他人のわたし、隣でホロリ。

 

ええねんな、ごはん奢るとか、ちょっとしたプレゼントあげるとか、勿論それもええねんけど、それじゃなくて、"まつげサロン一緒に行って奢る"。

 

親にキレイで居てほしいと言うよりも、キレイでおることを楽しんでほしいなって気持ちめっちゃわかる。

 

ほんで、娘さんの「え、別に。」くらいのスタンス。

 

感謝されまくるんは照れくさいんよな、親子って。わかる〜。

 

 

ええシーンは、他にも沢山ある。

 

歩きながら電話してるギャルが「え〜!ベーコンポテトパイめっちゃ好き〜!嬉しい〜!」って言うてたり。

 

アメ村で、占いの館の手持ち看板を持って立ってる男の子に、コワモテの男性が真面目な顔して「お兄ちゃん、これぇ・・・あれか?未来のこととか、見えるんか?」って聞いてたり。

 

フェスで今からカレーを食べようとしてる男の子、自分で割って乗せるタイプの温泉たまごをトッピングで頼んだものの、ここは芝の上。周りに固いものも無い。地面にコンコンしてみるけど、柔らかい土の上じゃ割れるわけもなく。

 

色々試してみるけど上手くいかず、自分の置かれてる状況に気づいて慌て始める男の子。

 

どうすんねやろ〜ってしばらく見てたら、ようやく自分の体の固いところ、"膝"に気付いた。すかさず己の膝にコンコンするものの、どうやら力加減が難しい様子。

 

コンコン・・・コンコン・・・コン!

5回目のコンで膝が温泉卵まみれになってた。

 

幸あれ!

 

 

生活を生きてると、ええシーンに出会う。

これからも、ええシーンに出会うために、イヤホンの音量は小さめで歩こうと思う。